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The gay élite

レスリーキーが「The gay élite」と題した写真を発表した。
パリッとしたスーツに身を包んだ男性たちがそれぞれの所属する企業(グーグルや電通のような大企業)の名前を出して写っている。

「今までゲイであるということを隠し、あたかもゲイでないように取り繕ってきた人たちの中にもセクシャルマイノリティーは存在する(しかも、日本人なら誰でも知ってるあの有名企業の中に!)」という意図があって公開されたものだそうだが、これがなかなか賛否両論あるようだ。

もちろんエリートという言葉が持つ独特のニュアンスを汲み取れずに条件反射的に唾を吐きかけてる人もいるけれど、もう少し踏み込んで理解しようとしてみても「うーん……」と思ってしまう要素がある。

仰る通り、今までゲイでないように取り繕ってきた人たちの中にもセクシャルマイノリティーは存在するんだよというメッセージ性があるということは大いに意義があることだと思う。
やりたいことや表現したいこと自体は理解できるのだけれども、それは別に大企業とかエリートに限ったことではないと思うし、今回のキャンペーンによって「やっぱりゲイの人たちってエリートだったり、アートの才能があったり、何か違うのね!」と思われてしまったら意味のないことなのではないだろうか。

ゲイだろうとビアンだろうと普通の人がほとんどなのだということは何度も書いてきた。
メディアが打ち出すパブリックイメージとは反して「一般人の中にもゲイはいるんだよ」ということを伝えたくて僕はおよそ10年前にこのブログを開設したし、初期から徹底して「普通のゲイ」ですとアピールしている。

まぁ普通といっても大学出て企業勤めしたけれど、ドロップアウトしてフリーランスやってというかなり泥臭い経歴であるけれど。
日雇いや性風俗で働いて日々生きるのに精一杯な貧困ゲイだっているし、無職だっているし、「あなたの身の回りにも存在する人たちなんですよ」というメッセージを伝えるにはもう少しどうにかならなかったのだろうか、という印象がある。

まだ写真一枚のビジュアルイメージしか出していない企画なので外野があれこれ言うのも野暮なのかも知れないけれど、インタビューやその後の企画で少しでも何かアクションがあれば望ましいのにな、と泥臭い人生を生きている普通のゲイは思うのだった。

ただ、こうして批判も起こることも見越してのことなんだろう。
まずは注目を集めてから……ということなのだろうか。
by innocentl | 2016-10-25 10:23 | 真面目な話 | Trackback | Comments(0)


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