<   2016年 08月 ( 8 )   > この月の画像一覧

ダブルワークの話

本業一本で何とか食べていけるくらいは稼げるようになったので、ダブルワークで働いていたラブホテルのアルバイトを辞めた。
基本的に受付に一人で座ってたまに来る客から金を受け取り鍵を渡すという仕事だったが、他の時間は暇だったのでPCをいじってネットを見てたり、ライティングの仕事を片付けたりしていた。
部屋が満室になり、新しく客の相手をする必要がなくなれば緊急連絡用の携帯電話を持って外出をしてもよかった。
休憩客が予定よりだいぶ早く帰宅するということでなければ呼び戻しがかかることもなかったため、気分転換に近所を散歩したり、パチンコ屋へ入ったり、食事に出かけたり、本屋で過ごしたりしていた。

場所柄、ホテルの周りには風俗店も多かった。
詳しく知らないので何とも言えないが、ソープというよりはメンズエステや性感マッサージなどのライトな風俗が多かったので、もしかしたら条例のようなもので出店が規制されていたのかもしれない。

ホテルの裏の喫煙所は休憩中や出勤前の風俗嬢たちが集まっていて、けっこうにぎやかに話している様子だった。
ホテルのゴミ捨て場が近くだったので、自分もよくその喫煙所を横切るような形で歩いていた。

何人か話し相手になってくれる風俗嬢もいた。
一番最初に話したのは19歳だか20歳の子で、自分が落としたスマホを拾ってくれたのをきっかけに少し会話をし、彼女の吸っていたタバコがちょうどパチンコ屋の景品でもらったものと一緒だったので「パチンコ屋でもらったけど吸わないからあげる」と言って渡したのが馴れ初めだった。
(彼氏に渡そうと思ってハンパな端玉をタバコに変えていた)

性感マッサージの店で働いていて、通信制の高校に通っている女の子だった。
現代文と古文が得意で、ゆくゆくは大学に行きたいと話していた。
その子の働いている店は出張サービスも行っているようで、たまにうちのホテルに客らしき男と一緒に入っていくのを監視カメラから見ていたこともあった。
母子家庭で、母親が定職に就かず、仕事をすぐにやめてしまうのが悩みだと話していた。
風俗で働いている子は派手で金遣いが荒いというイメージがあったが、むしろ彼女に関しては逆で、いつもユニクロやGUで買ったような「Tシャツにジーンズ」みたいな服を着ていた。
店では下着姿で接客をするのでいい服を着てくる必要はないそうだ。
本番を伴わない(と、いうことになっている)お店で働く彼女たちは、そもそもの価格設定が安く、ソープやデリヘルで働く女の子たちに比べて手取りが少ないようで、「服とかに使うよりまずはご飯と学費かな」と話していた。

結構早い段階で、「彼氏がいる」と暗にセクシャリティを公表して話したが、性に対してはあけすけな彼女たちだったので「ふーん」という反応だった。

その子経由で何人か話す人もできた。
その子と仲が良く、よく泊まりにも行くという32、3歳の人とも良く話した。
彼女は昼間はエステティシャンとして働き、空いた時間にメンズエステで働いているという。
ゆくゆくは自分のサロンを持ちたいと語っていた。
その人もあまり服装が華美でなく、どちらかと言えばオーバーサイズ気味な少し野暮ったい恰好をしていた。
高校を卒業してから工場で働いていたが、一度地元に帰り、また東京に出てきてエステの仕事とこの仕事を始めたという。

2人は自分がホテルの仕事を辞めると話したとき、「終わり22時でしょ。待ってるから金の蔵で飲もうよ」と誘ってくれた。
彼女たちと食事をするのは初めてではなかった。
たまに終わりの時間がかぶっていたらファミレスに行ったりもしたし、喫煙所でコンビニ飯を平らげることもあった。

彼女たちのことはお店で呼ばれている名前と、自分で話してくれた身の上話でしか知らないが、毎日を必死に生きている彼女たちに自分の姿を重ね合わせて救われたこともあった。
自分も生きるのに必死だった。
親と決別して彼氏の家に転がり込んだはいいものの、日々の支払いに追われ、迷惑をかけたくない気持ちから食事を1日に1食しかとれない時期も2ヶ月ほどあった。
僕の「記事が売れなかった」「取材したのにボツになった」「なかなか食べていけるくらいまで稼げるくらい仕事が入ってこない」といった、しょうもない愚痴も彼女たちは聞いてくれた。

居酒屋に到着するとすでに2人は2杯ほど飲んでいて、「あー、きたー」と手招きしてくれた。
「本業が忙しくなったなんていいことじゃん」と激励してくれ、ビールを一緒に飲んだ。
およそ10ヶ月ほどの友情だったが、少しほろりとさせられるものがあった。

本名すら知らないのだからお互いにある程度のラインでは線引きした関係なのだが、少し感傷的になってしまった。
最後に駅で別れるとき、「じゃあ、また」と、いつも別れるときに使っていた言葉でお別れをした。
元気で暮らしていてほしい。

[PR]
by innocentl | 2016-08-30 18:31 | 日常 | Trackback | Comments(0)

忘れる

クラブやちょっとしたイベントでふいに連絡先を聞かれたりすると、「この出会いはきっと何か意味があるのでは」と、安っぽい言葉を使えば「運命」を感じるような衝撃を受けて、まるで映画やドラマの主人公にでもなったんじゃないかと舞い上がってしまうことがある。
たいていそういうイベントが行われている場は大音量で音楽が長り響いているのに、相手の言葉だけやけにクリアに聞こえて、視界も相手の顔だけにフォーカスが合って他のものはすべてぼやけてしまう。

ただ、一晩眠れば全て忘れる。
顔も声も名前もときめいた気持ちも、全部思い出せなくなっている
別にこれも一度や二度のことではないので、「ああまた忘れちゃったなぁ」と思いながら手元に残った連絡先のデータを消去する。
これは相手も同じ気持ちなのだろう。その場の雰囲気に酔っただけの二人がインスタントなロマンスを消費しただけの話だ。

ゴミを出しながら仕事に向かい、帰りにトイレットペーパーとボックスティッシュ、豚肉と卵と味噌を買ってこなければなどと思いながらいつもの時間の電車を目指す。

[PR]
by innocentl | 2016-08-29 12:03 | 日常 | Trackback | Comments(0)

コーディネート

ふと、同世代くらいの男性は私服にどれだけのお金を使うものなのだろうかと思った。
テレビでよく「芸能人の私服トータルコーディネートが○○万円」といったような企画があり、最近売れ出してきたお笑い芸人レベルでも10万20万の金額の服を着ていて、「ああ、やっぱり芸能人は違うなぁ」と感じていたのだが、ふと冷静になって自分がどれくらいの値段の服を着ているのか調べたくなった。

そんなに高いものを買っているつもりはない。
古着屋で買い物をすることの方が多いし、ユニクロやGUでも買い物をする。
けれどもコートやジャケット、時計などはそこそこいいものを買いたいと思って買いそろえてきた。
というのも、やはりこの年齢なので全部を低価格帯でそろえると「ガキ」になるのだ。
インナーやジーンズがGUのものでも、どこか一点はそれなりの品質の、本当に気に入ったものをと思って買ってきた。

調べてみたら夏で6~8万円、冬で12万円程度だった。
年齢的に適正価格なのか、安すぎるのか、高すぎるのか、あまり服の話を人としないのでわからない。
彼氏はどちらかと言えば服好きな方なのできっと服飾費は高い価格帯の人だと思うし、あまり参考にならない。
かといってこの手の話題を友人同士でするのもいやらしく感じられて、結局のところどれくらいのものを着るべきなのか、着るのがふさわしいのか、身の丈に合っているのかが推し量れない。

好きなもん着てろよ、という話だが、好きなもん着てきた結果がこれなのだ。
まぁ、別に金のかかる趣味があるわけでもないし、服によって経済的に負担がかかっているわけでもないし、これくらいでいいのかもしれないが。

[PR]
by innocentl | 2016-08-26 18:56 | 日常 | Trackback | Comments(0)

稼ぐ

「あなたが記事を書くようになって、この媒体は今月現時点で過去最高の収益を得ています」と、今メインで書いている媒体を運営している会社の社長からお褒めの言葉をもらった。
手探り状態で記事を書き進めて1ヶ月、大当たりした記事は2、3記事と少なくとも地道に毎日コツコツとヒットを重ねてきた成果が出たのだろうか。

「大手を振ってくださいね。1ヶ月にしてあなたもしっかり稼いでいる主力なので、それは誇ってください。あとはテクニックを磨いてさらにブラッシュアップしてください。現状キープはダメです」と、若干チクリとされつつも、あの社長にしてはベタ褒めだと言えるほどのお言葉を頂戴した。

ものを何個売りました、患者が元気になりました、お客さんに似合う髪型を提供できましたというような他の仕事のように、自分の仕事の成果は目に見えない。
実際誰が、何人くらい読んでくれているのかを直接見る術はない。
なのでPVや収益からだいたいの読者数や読まれているシチュエーションを分析して想像するだけしかできないのだが、おそらく自分が想像しているよりは多くの人に読んでもらえているのだろう。

書きたいものを書けているか、と言ったらそうではないが、自分の力が会社の役に立っていて、実際に読者に僕が書いた情報が届いているのは誇らしい。
謙虚さと卑屈さを履き違えて「自分の仕事など大したことはない」と思い込み、結果仕事のモチベーションを全て失った前職の経験もあることだし、今回のことは素直に誇っていいんだと思おう。
自分は凄いことをしたのだ。
1ヶ月半で媒体カラーの文体を身につけ、過去最高の収益を稼ぎ、ヒット記事を3本も書いたのだ。

明日からも気を引き締めて頑張ろう。
[PR]
by innocentl | 2016-08-18 01:13 | 日常 | Trackback | Comments(0)

ブラックアウト

酷く酔っぱらってしまったため、ブラックアウトを起こした。

気が付いた時にはとあるコミュニティーセンターのロビーに座っていて、なぜか横に座っていた男が泣いていた。
おそらく僕の悪い癖で、酔っぱらっている間に彼の身の上話でも聞いてしまったのだろう。
状況が良く理解できないまま、今までに起こったことを必死で思い起こそうとした。

確か僕は新宿で開かれたとあるイベントにふらっと立ち寄り、友人たちと酒を飲み交わしながら雑談をしていた。
おそらく隣に座っている男はそのイベントでブース出展していた団体の中にいた一人だろう。
15時くらいから飲みはじめ、17時くらいまで屋外にいた記憶はあるが、そこからの記憶が一切ない。
コミュニティーセンターで意識を取り戻し始めた自覚があるのは20時過ぎだったので、3時間ほど記憶を失いながら行動していたことになる。

「こんなに話せた人は初めてだ」と彼は言った。
記憶がないので何とも言えないのだが、おそらく成人男性が涙を流すほどなのでよほど深入りした話をしていたのだろう。
酔いが醒め始めたころからの記憶を必死でかき集めると、彼は職を失い生活保護を受けている身で、今は貧困者が一時的に雨風をしのげるシェルターで暮らしている人間であるということが判明した。
病気を理由に職場を首になったらしいが、家族との関係も悪く、さらに東京近辺の出身ではないので身寄りがないという。

果たしてそんな重い話を酔っぱらって記憶が飛んでいるうちに本当にしたのだろうかと、にわかには信じられなかったが、どうやら本当らしい。
中途半端なやさしさは人を傷つけるだけだとわかっているのに、酔っぱらうとどうしても持ち前の知りたがりの性分が出てきてしまって、結局人の人生にずかずかと深入りしてしまう。
自分の悪いところで、直さなければいけないところなのだと思うのだが。
自分だって彼のことを支援できるわけではないし、話を聞いたところで「大変ですね」しか言えないのだ。
寄りかかられるだけの軸を僕は持っていないし、無責任に他人の人生を聞きかじって「ああ、こんな風に生活している人もいるんだなぁ」と思うだけで、要はポルノ的に他人の人生を消費している最低な男なのだ。
「大変そうな人のお話を聞いた」で心を痛めたフリの要はオナニーをして、翌日からは自分の人生を生きるだけで精いっぱいなので忘れてしまう。
「同情してあげている」「理解してあげている」どこか上から目線の自分に酔っているだけなのではないか。

自分はなんて残酷なことをしてしまったのだろうか。
「また会えるよね」という彼を駅まで送り届け、その場を後にした。
おそらくもう会わないだろうに。

彼からTwitterのフォロー申請が来ていたが、許可することなくこのまま過ごすのだろう。
そういう人間なのだ、自分は。
飲酒自体はたまにしかしないが、深酒するのを止めねば。
本当に酒に弱くなったなと感じる。
[PR]
by innocentl | 2016-08-15 18:36 | 日常 | Trackback | Comments(0)

裸の王様

世間一般から見れば「デブのおっさん」なわけだけど、それをチヤホヤする層もゲイの世界一定数存在する。
だからと言ってそれがメインストリームなわけではなく、あくまでニッチな需要であるのにもかかわらず、周りにイエスマンばかり揃えて常にお姫様のような振る舞いをしている人が存在していることに失笑してしまう。

客観的な視点を持つというのは大切なことだと思う。
「自分は一部の層にはチヤホヤされるけれど、決して100人いたら90人に良しとしてもらえるような人間ではない」と自覚している上で、自身の属するコミュニティ内のみで高飛車に振る舞うのならまぁ理解できる。
そこを勘違いして「自分ってば全てのゲイにとって魅力的に映ってるんだわ」とでも言わんばかりに全ての人に高飛車に振る舞う裸の王様の多いこと。

「ブスを甘やかすとつけあがるよ」と誰かが言っていたけれど本当にその通りで、ここまで勘違いした人間というのが出来上がるのかと驚かされることが最近多すぎる。
そもそもゲイの世界の付き合いだって人と人との繋がりなわけで、人としての謙虚さを欠いて無礼講に振る舞っていいわけではないと思うのだけれど、なぜそこのところを履き違えたままなのだろうか。

自分に自信を持つのは悪いことではないけれど、それを他人を攻撃する武器に使ってはいけないし、その手のことはまず客観的な自分の市場価値を理解した上でやるべきなのではないかと思う。
こんなことを言ったところでその手の人たちには一切響かないことなどわかっているが、自分はせめて表面上だけでも円滑にコミュニケーションを取って生きていきたいし、謙虚に振舞おうと改めて感じさせられた。
[PR]
by innocentl | 2016-08-14 13:12 | Trackback | Comments(0)

野獣先輩動画に思うこと

TwitterでAV女優(男の娘系なので正確には男優?)が、「探偵を使って『野獣先輩』を探し出す」番組をネットTV局経由で行うと発表しているツイートを見かけた。
問題のツイート

野獣先輩とは2000年ごろに発売されたゲイビデオに出演している男優の一人で、素人ものに何本か出演しているだけなので実際に名前を冠するポルノ俳優ではないのだが、ネット上では通称「野獣先輩」と呼ばれている。※詳しくは説明しきれない
ニコニコ動画や2ちゃんねるの文化に触れることがある人にとっては今更説明は不要かもしれないが、彼の出演ビデオの一部を切り張りしてアニメの映像などと合わせて面白おかしい動画を作ったりと、いわゆる「MAD動画」がニコニコ系のコミュニティ内で人気になっている。

※MAD動画とはアニメ映像の音声を差し替えたり、音声や動画を切り張りした映像作品。上は一例。

なぜ野獣先輩が人気になってしまったのか
ダンス動画を公開したり、ボーカロイドを使ったオリジナル楽曲を公開したりといった活動ももちろん人気だったのだが、元々ニコニコ動画ではこのMAD動画が盛んで、それぞれがお気に入りのアニメのMADを作って公開していた。
MADの素材はアニメやゲームだけでなく、CM音源や「なんでそんなものを使ってMADを作るんだ」という意外性やギャップでウケを狙う動画も多かった。
※例:アニメ映像と「カビキラー」のCM音声を合わせて作ったMAD

元々そういう土壌があった、というのが第一ポイント。
二つ目のポイントが、今から10年ほど前に人気だったMADの素材(MAD動画のネタにする題材)として、「ガチムチパンツレスリング」というものがあったことだと思う。
この「ガチムチパンツレスリング」は海外のゲイポルノビデオのワンシーンで、マッチョな外国人男性が下着姿でレスリングを披露するという映像だった。
元々の動画がシュールなうえ、この映像を使ったMAD作品が人気を博し、一時期はニコニコ動画内のランキングがこの「ガチムチ」を使った作品で溢れかえるほどにブームになった。
ここで、(海外作品とはいえ)ゲイのポルノビデオを「MAD動画」として公開するというパターンが出来上がってしまった。

余談だが、このガチムチパンツレスリングに出演している俳優たちは海外ではトップのポルノスターであり、ポルノ俳優を職業としている。
出演者の数人は日本で局地的なブームが起きていたことを知っており、そのうちの一人はニコニコ動画が主催するイベントにもゲスト出演するなど、比較的MAD動画に対して寛容な姿勢を見せていた。

※ニコニコ動画主催のイベントにゲスト出演した海外のゲイ・ポルノ俳優

ただ、これは彼らが「職業として」ゲイポルノ俳優をしているからこそ、ネット上のエンターテインメント(?)に協力的であったということが前提になるわけで、後述の野獣先輩問題とは状況が違うことを記しておく。

3つ目のポイントが、これはニコニコとは別の場所で起きた事件なのだが、現役の野球選手が過去にゲイ向けポルノビデオに出演していたことが発覚するスキャンダルが起こったこと。
現役のスポーツ選手がポルノ作品、しかもゲイ向けのものとなればマスコミもネット民も興味津々で、彼の出演したゲイ向けのAVが早々にニコニコ動画をはじめとするネット上の動画サイトにアップロードされてしまった。
MADを作ればウケる人たちがいるニコニコで、このビデオを題材に面白おかしいMADが作られて公開され始めるまで時間はかからなかった。

なぜ野獣先輩が見つかったのか
前述のとおり、最初に発掘されたビデオは現役野球選手が出演したものだけで、「野獣先輩」は出演していない。
最初こそ「現役の野球選手がゲイ向けAVに!?」といった驚きだけでネット上に広まった動画だが、時間が経つとだんだんとその内容について触れるものも増えてきた。
AVなんてどれもそんなものだと思うが、導入部のストーリーの滅茶苦茶さとか、明らかにおかしい人物設定や、(素人の男性を出演させているわけだから仕方ないが)俳優の演技力の低さなど、いろいろとツッコミどころの多い「ゲイビデオ」そのものに対して「おもしろい」と感じる人が増えてきた。
正直なところ自分もゲイビデオを見るときに、ストーリーものだとそのお粗末さに失笑してしまったりもするので、そういった部分を面白がる気持ちはわからないでもない。

こうなってくると「他のビデオも同じようにクオリティが低いのではないか」ということで、同じ会社からリリースされている同時期のAVが次々と発掘され、その中の一つに例の「野獣先輩」が出演していて発掘されてしまったというわけである。
なぜ野獣先輩がここまでのブームになってしまったのか説明しろと言われると困るが、要はハチャメチャな設定が多いゲイビデオの中でも特にツッコミどころが多いビデオだったから、とでも言えばいいだろうか。
おそらく形が違えば別の何かがブームになっていたかもしれないし、ただの偶然なのかもしれない。

そしてブームへ
こうして発掘された「野獣先輩」の出演したAVを使った使ったMAD動画がニコニコ動画にあふれ、Twitterなどでもこの「野獣先輩」を使った画像などが投稿されていたりと、ブームを引き起こしている。

ホモフォビア(同性愛嫌悪)に基づくMAD動画?
MAD動画は「おもしろおかしく」作っているものなので、この現象は「同性愛」をネタに面白おかしい動画を作り上げてそれを見た人たちが笑っているという構図になる。
単純に「演技力の低い男優たち」を笑っているという構図というよりは、やはりゲイのポルノビデオをネタにしているというだけあって、「ゲイって気持ち悪いな」「ゲイは馬鹿にしてもよいものなんだな」という意識の下でこうした動画が公開され評価されているのだと思う。
アニメ作品なら馬鹿にするような描写をMAD内に取り入れたとしても「アニメキャラクター」が実在しているわけではないし、演じている声優やキャラを書いた人に向けて馬鹿にしているようなことをしているのではなければ、「アニメキャラに対して馬鹿にした描写を入れた」MADで傷つく人もそんなに多くない。
おバカキャラのアニメキャラが動画内でバカにされている様子もすべてフィクションの中の出来事で完結しているし、視聴者もそこのところも理解して楽しんでいるのだと思う。

ただ、こういった実写のもの、出演している人がいるものを使ったMAD動画はどうだろうか。
CM音源や映画やドラマなどの映像作品も、俳優個人への誹謗中傷が入っていなければまあ「フィクション」の範囲でおさまるのかな、といった感じであるが(それでもグレーゾーンだとは思うけれど)、今回のブームは同性愛コミュニティ全体を馬鹿にした動画だ。
しかもその中の一人、「野獣先輩」が特にネット民の間でたびたび取り上げられており、個人攻撃のようなものだ。

野獣先輩を探してはいけないのか
ネット上であまりにも有名になってしまったし、過去に海外のゲイポルノ俳優がニコニコ主催のイベントに出演したことから、なんとなく「OK」なんじゃないかという雰囲気になってしまっているのかもしれないが、まず彼も一人の人間である。
「素人ものに出演していた○○というAV女優さんを探偵を使って探し出したいと思います」という企画と全く同じことをしているのだ。
彼だって過去に数回、若気の至りでゲイ向けのポルノ作品に出演してしまったかもしれないが、今は家庭を持った普通の会社員かもしれない。
著名人としての自覚を持っている先の海外ポルノ俳優とは違うのだ。
ゲイビデオに出演した過去を必死に隠して普通の生活を送っているかもしれないノンケ(異性愛者)の男性であるかもしれないし、同性愛者だったとしてもこんな風に特定されてしまったらアウティング以外の何物でもない。

(参考)

アウティングの何が悪いのか、という意見もあると思うが、同性愛者への偏見や差別がまだまだ強く残る日本で、勝手に自分の性指向をバラされてしまったら、偏見で会社追われるかもしれないし、家族から縁を切られるかもしれない。
まだ状況によっては自分の性指向を隠しながら生きていた方が生きやすいし、わざわざ自分から茨の道を突き進むような人はいない。
同性愛への偏見をなくすために活動している人がどうしても前面に出てくるので勘違いされやすいが、そんな自分が同性愛者だとバレたことによって起こる無用なトラブルとは無縁に「普通に生活したい」と思っている人がほとんどである。
普通に学校に通って、普通に仕事して、普通に友達と遊んで、普通に生きて、普通に死にたいのだ。

このブログを読んでいる人なら理解してくれていると思うが、別にゲイはなりたくてなったわけでも、選びたくて選んだ生き方でもない。
あなたが普通に異性が好きなように、自分たちも生まれたときからそうだったというだけだ。
生まれつき左利きだったとか、目の色が少し明るかったとか、髪がくせ毛だったとか、そういったレベルの話なのだ。
そんな自分の力ではどうしようもないようなことを、変だとか気持ち悪いとか世間では評価していて、しかもそれを別段咎めるような法律もモラルもないという状況なのだ。
そんな状況ではとりあえず隠して生きていた方が世間の言う「ふつう」に迎合できるので、勝手に性指向をバラすようなアウティングは「善」でもないし、エンターテインメントとして扱うにはあまりにも残酷すぎる。

この「野獣先輩探し」の放送はまだ先のことのようだが、何かしらの対策が取られることを祈る。

[PR]
by innocentl | 2016-08-11 18:46 | 真面目な話 | Trackback | Comments(0)

生かされている

金を生む仕事というのは必ずしも面白いものではない。

今、ネットニュースを書いている。
よくある「アイドルがツイッターでメンバーを貶すような発言してました」「テレビで俳優同士が不仲疑惑について触れていました」みたいな、取材ソースもテレビかネットの下世話でくだらなくて、読んで3分も経てば内容を忘れてしまうようなものだ。
そうして皮肉なことに今はその下世話で下らない原稿たちが僕の給料を稼ぎ、食わせてくれている。
この手の記事は力を入れて書けばPVが伸びるというわけでもなくて、「アイドルが体重何キロから何キロまで減らしたとツイッターで言ってました」レベルの記事がものすごく伸びることもあるし、「これは絶対面白いかも」と思って選んだ渾身のネタがコケることもある。
そこが面白いところなのかもしれないけれど、とにかくこの手の記事は時間に追われるだけで「物を書いたぞ!」というよりは排泄に近いというか、できることなら自分の書いた記事を二度と読み返したくなくなるような、なんだかうまく表現できないけれど胸を張って「これが俺の仕事だ」とは言い難いものだ。
しかもこの業務が今のメインになってしまっているので重箱の隅をつつくような指摘や上からの要望も多いし、「なんだかなぁ」という気持ちで取り組んでいる。
修行だと思って文章力を磨いていかなければいけないとは頭ではわかっているのだけれども、「でも別にこの会社の正社員じゃねーし。なんでここまで言われなきゃいけねぇの」という考えがよぎってしまったりもする。子どもなのだ。

次に僕を食わせてくれている原稿はゲームの記事だ。
新しく出たソーシャルゲームを一通りプレイして、簡単な紹介の文章や攻略ポイントなどを解説する。
ソーシャルゲームなんてどれも似たようなものだから原稿のテイストがかなり似通ってしまって、テンプレートに当てはめて書いているような感じだ。
たまに本当に面白いゲームに出会ったりもするし、おそらくゲーム好きな人に対しては有益な情報を提供できていると思うので、これは面白い。

でもやっぱり一番やりがいを感じるのは、実際にどこかの店舗や人物を取材したり、インタビュー記事を書いたり、記者会見に出ることだ。
記者会見に関しては「自社の中では」という注釈付きになってしまうが、やはり誰も知らない情報を持っているのが自分だけで、それを自分が世間に発信しているのだという感覚がたまらない。
記者としては失格だと思うけれど、自分の書いた原稿を何度も見返してしまう。
責任もあるけれどその分自分の裁量が大きい仕事はのびのびと取り組むことができるし、適度に緊張感も持ってできる。
残念ながらまだまだこの会社ではペーペーの扱いなので月に数えるくらいしかそういった業務はできないのだけれども。

もっと機械みたいに文章が書ければいいのに。
自分の書いた文章は実際に、本当の意味で誰かに届いているんだろうか。

[PR]
by innocentl | 2016-08-11 17:20 | 日常 | Trackback | Comments(0)