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「気を遣え」という脅迫

先日、人と話しているときに地雷を踏んだ。
要はその人が恋人と別れていることに気づかずにその手の話題を振ってしまったのだ。

その人だけでなく一緒にいた別の友人からも「空気を読め」「あなたは無神経だ」と批判を浴びたのだが、年に数回10人くらいの飲み会で顔を合わせるくらいで個人的に連絡を取っていない人の恋愛事情なんて普通把握しているものだろうか。

よほど距離の近い友人なら風の噂で交際している人のことなども耳に入るかもしれないし、仮に別れたことを知っていたら自分だってあえてその話題に触れないだけの分別はあるし、よほど親しければもっと踏み込んだ話もしただろう。
そもそもその人が破局したという前提知識もない状態で空気もへったくれもないだろう、と思う。

自分の恋愛関係を常に他人が把握していると思って「気を遣ってくださいよ」とアピールするなんておこがましいと憤っている。
こちらの事情には知らず存ぜずだけれども、私の地雷は踏まないでくださいよだなんてよくもまあ言えたものだと思う。

人と別れるというのは心を痛める出来事であるし、触れられたくない気持ちはよくわかる。
でも、だとしたらSNS上で恋人の存在をひけらかすリスクというものを考えろと言いたい。
SNSで常に「今日は一緒に出かけました」「大好きです」「記念日を祝ってもらいました」と仲睦まじいアピールをしていたのだから、てっきり仲良く今も過ごしているものだと思ってこちらだって話題を振ったのだ。
恋人と自分の関係性を公開するということは、「自分たちが別れたという事実を知っている人」がSNSのフォロワーの数だけいるということなのだ。
その分前の恋人との関係性に触れられることも増えるだろうし、時には相手に悪意がなくとも無神経な質問を受けることもあるだろう。

けれどそれは全て自分が蒔いた種なのだ。
何かをアピールするということは、それだけ人から注目されて知られたくない事実や触れられたくない事実を知る人が増えるということだ。
リスクヘッジを怠ったのは自分であるのに、よくもまあ他罰的な態度でいられるものだ。触れられたくないのなら最初から恋人とのやり取りや行動をSNSに投稿などせずに、真摯に相手と向き合ってひっそりと愛を育めばよかったじゃないか。

もちろん自分にだって非はあるだろうが、自分だけが「無神経」だと批判をされて非常に腹を立てている。
「あなたのことは知りません。でも私を不愉快にさせないでくださいね」だなんて何様のつもりなのだ。
言ってしまえばそういった近しくない友人たちの中には、自分が3年付き合っている恋人がいて同棲している事実を知らない人すらいるだろうし、仮に自分が彼と何かあったとして一体どれだけの人が「空気を読んで、無神経でない態度」を取ってくれるだろうか。
おそらく2、3人そういう人がいればいい方だと思うし、大多数は無関心で、中には興味本位でいろいろとほじくり返してくる人もいるだろうということは想定して生きている。
それはリスクを承知で生きているからだ。

人は人にそこまで興味がない生き物だと思う。
だからこそ要望は声や態度にに出さなければ人に伝わらないと思うし、そこを「察して」という言葉で済ませるのは子どものすることだ。
気を遣ってもらえるようになりたかったらまず我がふりを直せ、と声を大にして言いたい。

指摘された直後は素直に「自分ってば最低なことをしてしまったのでは」と思っていたものの、よくよく考えれば無理難題を押し付けられて勝手に悪人に仕立て上げられただけじゃないか。
最高に気分が悪い。

by innocentl | 2017-05-12 19:01 | 日常 | Trackback | Comments(0)


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