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生かされている

金を生む仕事というのは必ずしも面白いものではない。

今、ネットニュースを書いている。
よくある「アイドルがツイッターでメンバーを貶すような発言してました」「テレビで俳優同士が不仲疑惑について触れていました」みたいな、取材ソースもテレビかネットの下世話でくだらなくて、読んで3分も経てば内容を忘れてしまうようなものだ。
そうして皮肉なことに今はその下世話で下らない原稿たちが僕の給料を稼ぎ、食わせてくれている。
この手の記事は力を入れて書けばPVが伸びるというわけでもなくて、「アイドルが体重何キロから何キロまで減らしたとツイッターで言ってました」レベルの記事がものすごく伸びることもあるし、「これは絶対面白いかも」と思って選んだ渾身のネタがコケることもある。
そこが面白いところなのかもしれないけれど、とにかくこの手の記事は時間に追われるだけで「物を書いたぞ!」というよりは排泄に近いというか、できることなら自分の書いた記事を二度と読み返したくなくなるような、なんだかうまく表現できないけれど胸を張って「これが俺の仕事だ」とは言い難いものだ。
しかもこの業務が今のメインになってしまっているので重箱の隅をつつくような指摘や上からの要望も多いし、「なんだかなぁ」という気持ちで取り組んでいる。
修行だと思って文章力を磨いていかなければいけないとは頭ではわかっているのだけれども、「でも別にこの会社の正社員じゃねーし。なんでここまで言われなきゃいけねぇの」という考えがよぎってしまったりもする。子どもなのだ。

次に僕を食わせてくれている原稿はゲームの記事だ。
新しく出たソーシャルゲームを一通りプレイして、簡単な紹介の文章や攻略ポイントなどを解説する。
ソーシャルゲームなんてどれも似たようなものだから原稿のテイストがかなり似通ってしまって、テンプレートに当てはめて書いているような感じだ。
たまに本当に面白いゲームに出会ったりもするし、おそらくゲーム好きな人に対しては有益な情報を提供できていると思うので、これは面白い。

でもやっぱり一番やりがいを感じるのは、実際にどこかの店舗や人物を取材したり、インタビュー記事を書いたり、記者会見に出ることだ。
記者会見に関しては「自社の中では」という注釈付きになってしまうが、やはり誰も知らない情報を持っているのが自分だけで、それを自分が世間に発信しているのだという感覚がたまらない。
記者としては失格だと思うけれど、自分の書いた原稿を何度も見返してしまう。
責任もあるけれどその分自分の裁量が大きい仕事はのびのびと取り組むことができるし、適度に緊張感も持ってできる。
残念ながらまだまだこの会社ではペーペーの扱いなので月に数えるくらいしかそういった業務はできないのだけれども。

もっと機械みたいに文章が書ければいいのに。
自分の書いた文章は実際に、本当の意味で誰かに届いているんだろうか。

by innocentl | 2016-08-11 17:20 | 日常 | Trackback | Comments(0)


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