夏日と文庫本

夏になると、本を読みたくなる。
よく読書の秋と巷では言われているけれども、自分にとって本を読みたくなる季節は圧倒的に夏だ。

子どものころ、夏休みの読書感想文のために本を買い与えてもらっていたのがきっかけだろうか。
小学校に入る前も、退屈しないようにということで本を買ってもらっていた気がする。
アレックスシアラーの「青空のむこう」「チョコレートアンダーグラウンド」「海のはてまで連れてって」なんかが好きだった。

大学に入ってからも夏にはよく本を読んでいた。
講義と講義の間、夏日が差し込む古い講義室の窓際で主に金原ひとみや村上春樹の文庫本と、カズオイシグロなどの授業で知った作家の洋書をよく読んだ。
古い講義室のクーラーがごうごう音を立てて風を吹かせ、少し肌寒いくらいなのに窓際は日差しが暑くて、大学に隣接している神社の雑木林の木漏れ日がちらついていた。
読み終わってふと時計を見ると15時を回っていたりして、「今日はどこかへ寄って帰ろうかな」などと思いながら教室を出る。
むっとする熱気が廊下にこもっていて、階段を下りて中庭に出ると今度は傾きかけているがいまだ強さを失っていない西の日差しが身体を刺す。
まぶしくて目を細めながら駅の向かう。

駅のホームでまた少し文庫本を開いて、気に入ったページを読み直す。
どうしてここで主人公はこんな行動をとってしまったんだろう。自分だったら同じことをするだろうか。自分がこの人と付き合ったら、この主人公のように裏切るだろうか。なぜ自殺をしたのだろう。
帰りの電車に揺られ、まだ暑い日差しを身体に感じながら、とりとめもなく妄想をする。
そんな時間が好きだった。

今年もまた暑い季節が始まる。
文庫本を買いに行こうかな。

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by innocentl | 2016-06-03 14:30 | 日常 | Trackback | Comments(0)
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