クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ、という映画がある。

目が覚めると白い部屋で身体を拘束されていることに気づき、何が起こったのかを思い出そうとする主人公の女性ライター。
入ってきた看護師に聞くと、アルコールと睡眠薬のオーバードースで精神科の閉鎖病棟に運ばれてきたという。
見舞いに来た同棲相手の話を聞いて、ここへ運ばれる前のことを思い出す。

病院へ運ばれる前、仕事が思うように進まず、ちょうど不眠気味で処方されていた睡眠薬があったので焦燥感から酒と一緒に飲んでみたら気分がよくなってしまい、そのままついうっかり過剰に摂取してしまった……ということを思い出す。
自分の場合ついうっかり過剰摂取してしまっただけなので、何も閉鎖病棟にまで入るようなことではないと抵抗するが、看護師も医師も取り付く島がなく、おかしいのは自分なのか病院側なのかわからないといった描き方がされている。

一緒の病室の患者も「事故でオーバードースをしてしまっただけなのに閉鎖病棟にまで入れられている」と話しているし、「何故ここにいるのかわからない」といった気持ちは強まっていく。

しかし同棲相手からの差し入れに入っていた手紙にすべての真実が書かれており、それによるとどうやら自分の認識と事実は大きく異なっているらしい。

まず主人公は数年前にモデルの仕事をしているときに知り合ったゲーム会社の社長と結婚するが、「つまらない男」であったために離婚する。
妊娠もしていたが堕胎し、離婚して無一文になってしまったので風俗で働き始める。
そこで今の同棲相手と知り合い、一緒に暮らし始めることになり、彼の紹介でライターの仕事も始め、「ちゃんと働くって楽しい」と思い始めるまでになる。
ライティングの仕事で風俗関係の体験記を載せたことがきっかけで親に風俗経験がばれ、勘当される。
そんな中、前の夫が自殺したとの連絡を受け不眠症になる。ここで睡眠薬を病院から処方される。
その後なんとか持ち直し、また仕事に打ち込めるようになるも、今度は父親が亡くなったとの連絡を受ける。
勘当されている手前葬式に参列はできないが、せめてもと思い仏壇を実家に送るも、よくわからないまま他人の紹介で送った仏壇なので宗派も違えば大きさもデカいということで送り返されてしまう。
仕事も立て込んでいるのでとりあえず家に置いておこうと一旦は決め、同棲相手とその後輩に仏壇を別の部屋に運ぶのを頼み、仕事に取り掛かる。
しかし同棲相手とその後輩は「素面のまま仏壇を運ぶのはキツい」と、マリファナをキメながら作業に取り掛かり、仏壇をカラースプレーで滅茶苦茶にしてしまう。
それに怒った主人公は二人を家から追い出し、睡眠薬とアルコールを過剰摂取する。
前夫の死、堕胎したことへの罪悪感、父親の死、そして「父親の仏壇をカラースプレーで塗られても平気な顔をできる女だと思われていた」ことに対する憤りや、数百字のコラムすら書けないことへの焦りなど、様々な感情が爆発して衝動的に飛び降り自殺をしようとする。
その際止めてくれた同棲相手に縋りつくように抱き着き、セックスを求めるも「いい加減にしろ。もう別れよう」と告げられ、彼は部屋を後にする。
そしてさらに薬を飲み、救急車で運ばれることになった。
胃洗浄をしているときには「死なせてください」と話していたという。

全てを思い出すと当初の自分の認識とはだいぶ違っており、「うっとうしい女だったね」と病院の面会室で同棲相手の別れ話を受け入れる。
退院の日に一人になって病院の外に出ると、救急車で誰かが運ばれてくる。
それは少し前に退院した「事故でオーバードースしてしまっただけなのにここに入れられた」と話していたあの患者だった。


全て終わったときには一人で社会に戻されて、主人公は今後どう生きていくのだろうか。
たまに思い返したように観る映画だけれども、いつも主人公のその後が気になってしまう。

[PR]
by innocentl | 2016-04-11 15:04 | 日常 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://innocentl.exblog.jp/tb/25504458
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< タオルケット トラブル >>