蛇にピアス

c0141313_12253186.jpg
ピアスを開けた。
彼氏との食事の待ち合わせの前に、ドンキホーテで「一番売れています」という謳い文句のピアッサーと消毒液を買い、鞄に忍ばせておいた。

待ち合わせの時間より30分ほど早く着いてしまったので、スターバックスで音楽を聴きながら彼氏を待っていたのだが、頭の中はピアスを開けることでいっぱいだった。
どこに開けよう、どんなピアスを買おう、消毒って面倒なのかな、穴が塞がったりしないだろうかと、とりとめもなく空想をしていた。
ついに彼氏がスターバックスにやってきたとき、居てもたってもいられなくて、「お願いがあるんだけど」と言い、買ってきたばかりのピアッサーを見せた。

彼氏は「まだ時期じゃない。やめておきな」と呆れたような顔で言っていたが、おそらく最近多い僕の衝動的な行動のうちの一つだと思っていただろう。
だけど僕は本気だった。
「それに消毒液だってうちにないよ。今日はやめておこうね」という彼氏の口を封じるように、僕は買ってきたばかりのピアス用消毒液を見せつけて、「準備万端なんだよ、本気なんだよ」という意味を込めて、歯を見せて笑った。

彼氏は堪忍したように、「わかったけどさ」と言っていた。

その後食事をとるために新宿三丁目のバーへ行ったのだが、つい飲み過ぎ、2人で2万円超えという破格の会計を済ませ、彼氏の家に向かった。
「はやくはやく」と、ゲームを買ってもらったばかりの子供が家につくまでおあずけを食らっているかのような、はやる気持ちを抑えきれなかった。


彼氏の家につき、念入りに手を洗い、ピアッサーを開封した。
「本当にいいのか」というようなことを彼氏に問われたような気もするが、ほぼ彼を無視する形で、僕はペンで穴を開ける位置取りをしていた。

ピアッサーを耳にセッティングし、レバーを引いてもらった。
バチン、という大きな音が耳元でしたため、反射的に「いってぇ!」と叫んでしまったが、痛みはほぼ感じていなかった。
むしろ音の方にびっくりしてしまっただけだったのだが、口をついて出た言葉が「いってぇ!」だった。
シチュエーションとして、その言葉が一番合っているように無意識のうちに感じられていたのだろうか。

鏡で耳を確認すると、きちんとピアスがはまっていた。
小さい玉が耳元に光っていて、「とうとう開けたぞ」と、恍惚とした気分になった。

「ねえねえ、蛇と一緒に写真撮ってよ。蛇にピアス!」と、興奮して僕は言い、彼氏のペットの蛇を耳元に持ってきて写真をバシバシ撮った。
眠っている所を無理やり引き出されたからか、蛇は動きが鈍かったため、撮影は楽だった。

翌日、シルバー専門店で1万円ほどする黒い石がはめ込んである星形のピアスを買った。
ホールが完成したら、これを付けて出かけよう。
黒い星が左耳に装着されている様子を想像すると、楽しみで楽しみで、ピアスを開けたことが嬉しくてたまらない。


昔の曲で「思い切り開けた左耳のピアスには笑えないエピソード」という歌詞を含むものがあったかもしれないが、今回の僕のピアスにまつわるエピソードは、笑えるものになるだろうか。
一つの区切りとして、身体に穴を開けてみるのも、悪くないなと思った。

人気ブログランキングへ
にほんブログ村 恋愛ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ
にほんブログ村 ↑ランキング参加中。

[PR]
by innocentl | 2015-07-28 10:55 | 日常 | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://innocentl.exblog.jp/tb/24459683
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented at 2015-07-29 16:25 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by innocentl at 2015-07-30 20:52
さとやさん

彼氏にも「今更ピアスを開ける開けないなんて悩むのは遅いよ」って言われてしまいました。笑

おそらく、今後の転職活動でも今の業界には戻ってこない気がします。
そういった意味でも、訣別の意味を込めて開けました。

ピアスって、他のアクセサリーと違って身体と半一体になるのが魅力ですよね。
その人の一部になるというか。
早くお気に入りのピアスをつけて外出できるといいですね。


<< カジュアルなハグ 休職を決めた話 >>