夏のはじまり

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「今年も夏の花火は、足立から」というキャッチコピーの、足立区花火大会へ行ってきた。
花火大会に行くから、この日だけは絶対に予定を開けておくようにと、1ヶ月も前から彼氏に予約を入れられていたのだ。

午前中は病院に行かなければいけなかったので、昼食をとってから浴衣に着替えた。
黒のしじら織で、帯は灰の、シンプルな浴衣。
毎回浴衣を着るたびに、やはり自分は和風な顔立ちをしているから和服が似合うなと、自惚れかもしれないが思う。
顔立ちがシンプルだから、たとえばゲイに大人気のトミーヒルフィガーやら、やたらカラフルというか色を強調する洋服を着てしまうと、顔が浮くのだ。
洋服を着る時も色数は少なめに、モノトーンやアースカラーや、差し色を入れても無難に青といったような服装をしてきた。

そんなに高級な浴衣でもないが、これを着る時は少し気持ちも引き締まる。
帯をキュッと締めた後、鏡で後姿を確認すると、背筋も自然と伸びる。
黒の下駄を履いて、紺と灰の巾着袋を持って、駅へと向かった。
上野まで行けば浴衣姿の人間も多く見かけるようになったが、それまでは浴衣姿の男というのも少し浮いているように感じられて、なんとなく少しだけばつが悪くて椎名林檎の曲をイヤホンで聴いていた。


花火大会の会場の最寄り駅につくと、それまで晴れていたのに小雨が降っていた。
ガード下では彼氏が待っていた。
少し灰がかった帯に、紺色の浴衣だった。
出会い頭に「今日、花火大会やるかな?」と不安に思って聞くと、「町内放送でやるって言ってたから大丈夫だよ」と返してきた。

二人で花火を見れる土手まで歩きながら、ビールを4本、チューハイを4本、ワインを少しと、お好み焼き、串焼き、焼きそば、チョコレート、焼き鳥なんかを袋いっぱいに買っていった。
「お兄さんたち、今から花火ですか?」と、売り子のお姉さんに話しかけられた。
浴衣姿の男が二人で買い物をしている様を見て、その女性はどう思っただろうか。
会場には女の子たちが待っていて、男二人が買い出しを命じられたといったような姿にでも映っていたのだろうか。
「はい、雨だから少し心配ですよね」などと返事をしつつ、焼き鳥が焼きあがるのをじっと見ていた。

お腹が空いていたので花火大会が始まる前にほとんど平らげてしまった。
すっかり満腹になった後、気付いたら雨も止み、花火大会の開始を伝えるアナウンスが流れてきた。


花火はとても綺麗だった。
「足立の花火が一番」だと言う彼の言葉は本当で、とにかく短い時間で多くの花火を上げるので、光の洪水のようだった。
変な言葉で言えば、ヤケクソのように花火を打ち上げているので、花火と言うよりは爆発と表現した方が適切なような、ダイナミックな花火大会だった。

テーマパークなどで打ち上げられる、おすまし気味の花火と違って、東京の下町の粋というものがよく感じられる花火大会だった。
「すごいすごい」と言って見とれているうちに、あっという間に花火大会は終わってしまった。

凄みのある大輪の枝垂れ柳を鑑賞し、すっかりご機嫌な自分たちは帰り道にそんなに好きでもないかき氷を買って、花火の余韻に浸りながら帰った。

彼氏の家に帰ってからニュースを見たら、梅雨が明けたとアナウンサーが話していた。
なんてことのない、夏のはじまりを感じさせる日だった。

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by innocentl | 2015-07-20 13:05 | 日常 | Trackback | Comments(0)
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