フロアにて



クラブに行くと、昔好きだった人に会うことがある。
自分はたいていクラブには一人で行くのだが、向こうは友人連れでいることが多い。

気付かないふりをしてフロアで身体を揺らして、アルコールで朦朧とした意識の中で、昔のデートのことを思い出す。

自転車を買いに行くのに付き合ってほしいと言われたからついていったけれども、自転車になんかそんなに興味のない自分はロードバイクのレース映像を店頭でずっと観ていて、彼は熱心に店員と話しながら自転車を選んでいたりしたなぁ。

TSUTAYAでくだらない洋画のDVDを借りて、酒を飲みながら観ていたけれども、内容なんかそっちのけでキスをしたり、そのままなし崩し的にセックスをして、事が終わって気付いたらエンドロールが流れていたりしたなぁ。

友達と飲み過ぎた帰り道、酔った勢いで電話をして、「今日泊めてよ」と冗談めかして言ってみて、OKの返事を貰った時に嬉しくてはしゃいで、夜道を走って彼の家まで向かったりしたな。


耳が痛くなるくらい大きい音でEDMが流れるフロアで、昔のことを思い出している。
目を閉じて身体を動かして汗をかいていれば、涙が出てしまっても汗だと言い切れるし、酔って人にぶつかって酒をかぶってしまったのだと言い訳もできる。


「久しぶり、元気だった?」

ああ、気付かれてしまった。

「すごい汗かいてるね、相当長い時間いたの?」

そういうことにしておく。

「また今度ご飯でも行こうか」

・・・・・・。


最後に一杯飲んで、自分は帰路につく。
ウォークマンでクラブミュージックを大音量で聴きながら電車に揺られて帰る。

嫌いになって離れたわけではない人と会うのはいつだって辛いものだなぁ。
好きになった人が自分を好きになってくれる魔法があればいいのになぁ。

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by innocentl | 2015-06-30 21:07 | 日常 | Trackback | Comments(0)
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