グレーな部署

人事に出した異動願いが通り、この春から部署が変わった。

幸い、前の部署に初めて配属されたときに感じたような「まったく業務に興味は持てないけど、まあ頑張るか」といったような気持ちはなく、業務内容には興味は持てている。
今後勉強し、自分で考えて色々と改善なりをできるようにならねば、と感じることができているため、そういった意味ではまだ大丈夫そうだ。


前の部署の話をしたいと思う。
前の部署で、僕は主に会計業務や財務業務を行っていた。
会計知識など全くなく、興味もなかったので、明らかに配属のミスマッチであったのだが、新卒初めての会社と言うことで「これが普通なのだ」と思ってしまっていた。

業務内容に全く興味が持てないと、何かしらのエラーが発生したときに何を改善していくべきなのかも見えてこない。
その積み重なりで、僕は押しつぶされそうになってしまった。
きっと経営や会計に精通している人は僕のやったような一つ一つのエラーを改善、分析し、今後よりよい会計業務が行えるように役立てていくのだろう。
僕にはそれができるだけの基礎知識がなかった。
し、全く畑違いの配属だったので、どうすればいいのかも何もわからなかった。


前部署の人間関係は、最初は悪くなかったように感じた。
しかし、時が経つにつれてだんだんと問題が見えてくるようになった。

まず、僕以外が全員女性であるという特殊な部署であったので、何かにつけて「男対女」といったような構図に陥ることが多かった。
周りは雑談でも男性アイドルの話などを嬉々として話していたのだが、僕はアイドルには興味がないため(自分がゲイであるということをカミングアウトしていないということも含め)話に参加できなかった。

だんだんと疎外感を感じるようになったし、実際後半は僕の方から周りを避けるようになった。

次に、会社の規模に対して部署の人数が少なすぎることも問題だった。
普通、管理部門の人数は会社全体の人数の5%程度が適切なものであるのだが、それを大幅に下回っていた。
部署の人数が少なくなれば、当然だが一人一人に対する仕事の量は多くなる。
一日かかっても仕事を片付けられず、へとへとになっていても、周りは手助けをするわけでもなく「なぜこの程度の仕事を終わらせられないのか」と言ったような口ぶりで急かしてきた。
急かして仕事が終わるのであれば世の中に残業は発生しない。

こうしたことが積み重なると、次第に「この程度の量の仕事でヒイヒイ言ってるなんて、僕に問題があるのではないか。僕は頭がおかしいのではないか」といったような気持ちになってきてしまった。
会社の施錠の関係で、帰りの時間は遅くとも21時までには家に帰れていたのだが、かえってそれが仇となって「2、3日残業すれば取り戻せる程度の遅れ」を取り戻すことができなかった。
こうして積み残しの仕事が増え、精神的に余裕がなくなっていった。

冷静になった今、昨年自分の抱えていた業務を振り返ってみると、やはり許容量は超えているのでは、と感じた。


そして一番堪えたのが、ヒステリックな女上司である。
部署一人一人の人間は優しいところ・人間としてできているところもあると思うが、ヒステリックな女が上に立つと全てを台無しにしてしまう。
配属のミスマッチ、業務量の多さから次第に精神的に追い詰められ、普通ならしないようなポカミスが目立つようになった僕を、この女上司はさらに厳しく責め立てた。(うっかりやミスが増えるのはストレスうつの予兆である)

仕事のことだけならまだしも、この上司はそれ以外のことでもいわゆる「イチャモン」をつけてきた。
例えば、僕の会社は毎年新人が忘年会の準備をするというしきたりがあるため、例年新人は忘年会のシーズンになると週に一回程度終業後にMTGなどを行う。
毎年のことであるし、その上司も新人の時代には経験をしているはずなのだが、「この忙しい時期に定時であがって飲み会の話をするなんて」といったような文句を直接僕にぶつけてくるのだ。

僕だって仕事が忙しい時はそんな業務に関係しないMTGになど出席したくない。
そんな当たり前のことも汲み取ってもらえなかったのだ。

次第に人格まで攻撃されるようになり、今から思えば立派なパワハラであったな、と感じる。
よく言われるように、パワハラというのは、受けているときはパワハラと感じないのだ。
「自分が悪いのでは」「自分が変われば相手も変わってくれる」といった感情に支配され、自分を客観的に見る方法をなくしてしまう。
これが長く続くと、心を壊してしまうのだ。


思えば、最初の時点で「おかしい」と思うべきだったことがあったことを思い出した。
部署で急に欠員が出たから新卒を配属する、ということで僕は前部署に配属となったのだが、その辞めた人をよく観察すれば気付けるはずだったのだ。

自分の前にいた人は、会計業務などを中心に行ってきた20年選手のベテランの人であった。
その人が、自分の入る前の12月に突然辞めていたのだ。

ここがまずおかしい。
普通、会計や財務関係の部署というのは年度末が一番忙しく、決算書などの提出をもってひと段落する、という意識がある。
20年も会計をやってきた人間が、忙しい12月に突然辞めるだろうか。
会計のスケジュールは嫌というほど身に染みて理解している人間が、決算前に業務を放り出して転職するだろうか。

やむを得ない事情があったとしたら仕方がないのだが、部署の人間といい関係を築けていたのなら、普通は決算の時期までは引き継ぎなりで会社にいてくれるのではないだろうか。
決算という大仕事を押し付けて退職など、世話になった人に対して申し訳ないという気持ちを持つのが通常である。

退職した彼がそれをしなかった(あるいはできなかった)としたなら、部署という環境側に何か問題があるのでは……と、最初に疑うべきだったのだ。

現に、僕が入った後も、部署の人間は辞めた彼に対しての悪口を止めはしなかったし、僕にも「前いた人は最悪だった」などと何度も聞かせてきた。
新卒で入ったために「そういうものなのか」で済ませてきてしまったが、これは明らかにおかしいのだと気付くべきだった。


そんな部署から異動することができたが、僕の後釜には新卒の女の子が配属された。
僕と同じ英語専攻の学科出身で、会計知識も全くない。
どちらかといえば営業向きの明るい性格で、はっきりした顔立ちの美人である。

彼女が配属される前日、机の片づけをしていると、ヒステリックな女上司が「新しい人入るんだから、机の上さっさと片付けてよ」と嫌味を言ってきた。
「はいはい」と思いながら片づけを進めていると、部署の人間が新しく入る新卒の噂話をしているのが耳に入ってきた。

「研修中なのにブラウスにフリルがついてた」「メイク濃くない?」「そんな美人ってわけでもないね」
と言った具合だ。


僕の後に入る新卒も、きっとあの部署に潰される。
彼女が、潰れる前に逃げ出すだけの勇気と地頭の良さを持っている子であることだけを願う。

ロッカールームで中指を立てて、タイムカードだけを持って、本部を去った。
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by innocentl | 2015-04-04 12:31 | 日常 | Trackback | Comments(0)
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