彼女が忙し過ぎたのかもしれない。
僕が無神経だったのかもしれない。
別れることに特別な理由があるわけではない。
ただ、昔は確かにあった二人の間の何かは、変質して色褪せてしまった。
もうやっていけない。
それは、言葉で説明できない分、動かしようのないものに思えた。
本多孝好「Sidewalk Talk」より
この短編では、離婚を決めた夫婦が最後の食事をしている風景が描かれています。
「ごめんなさいと素直に言えない時は、この香水をつけていく」と、付き合い始めの頃に約束した彼女。
最後の食事の時に、彼女はその香水をつけていて、主人公はその香りで過去の約束を思い出して…ってな感じでクライマックスまで進みます。
でも、そんなに盛り上がる話でもなくて、淡々と別れ話が進んでいくだけの短編です。
別れって意外とあっけないものですしね。
今日は出かけないけど、誕生日に貰った香水をつけて過ごしてます。