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星へ落ちる

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金原ひとみの「星へ落ちる」を読みました。
少し早く学校が終わったので、バイトが始まるまでの暇つぶしにと思って買ったんですが、意外にいい話でした。

ハッピーエンドじゃないし最終的に主人公が不幸になっていく終わり方なんですけど、むしろ今日みたいな雨の日にはちょうどいい感じ。

若干ネタバレですが、付き合い始めて3年の彼氏がいる主人公はある男に出会って恋に落ち、それまでずっと付き合ってきた恋人を捨てるんです。
「これまでの人生で唯一自分に対して誠実だった男」の恋人のことは大好きで大好きで仕方なかったのに、他の男と出会って「何かが起こる」予感がして、その恋人のことを捨てるんです。

そうしてその主人公はその男にのめり込んでいって、どんどん壊れていくんです。


「壊れるほど人を愛する」って、文章にしてしまうと使い古された言葉でやけに陳腐に感じてしまうけど、実体験として人を愛して壊れてしまうってそうそうあり得ることではないよなぁ、と。
別にこの小説にリアリティがないとかそういう意味ではなくて、自分はそこまで他人にのめり込むような恋愛をしたことがないな、って。

今の彼氏とも、お互い忙しいときは数日連絡を全く取り合わないことなんてザラにあるけど、それで不安になったりしたこともないな、と。
それは互いに依存し合わないバランスの取れた関係だと自分では思っていたけれども、この小説ではそんなバランスの取れた関係の恋人を主人公は捨ててしまうんですよね。

他の男と「何かが起こる」予感を感じてしまったから、それまでの恋人と築いてきた平和で穏やかで幸せな生活をすべてぶち壊して新しい男に依存し始めるっていう…。

だったら自分も、もしかしたら何かの拍子にこの生活をすべて壊してしまうことがあり得るんだろうか。
別に彼氏との今の関係が永遠に続くものだとは思っていないけど、今の二人の関係は脆くあっさりと崩壊してしまうほどの関係であるんだろうか。

もし彼氏に捨てられたとしたら、この小説に出てくる主人公の元彼のように主人公に依存し続けるんだろうか。
毎日泣いて電話して、8ヶ月も別れた恋人の影を追い続けるんだろうか。

もし自分が「何かが起こりそうな予感のする人」と出会って、その人と恋におちたら、自分は今の彼氏をあっさり切り捨てて、切り捨てた罪悪も数ヶ月で薄れさせてしまうんだろうか。
精神を病むほど他人に依存して、それを愛だと感じるんだろうか。


そもそも愛ってなんだろう?
相手に依存することも、それが原因で手首を切ることも愛になるのか?
依存してない関係に愛はあるのだろうか?
多かれ少なかれ依存はするもの?
嫉妬や執着って愛情の一種?

なんて色々と考えてしまって、恋愛って不安定すぎるな、と。
安定とか、幸せとか、そういった類のものって手に入らないものなんだろうな。

とにかく、面白い本でした。
買って良かった。

でも、自分は今の恋愛現状に満足してるし、たぶん幸せなんだろうな。
この先どうなるかはわからないけど、未来のことなんて誰にもわからないし、今はこの関係が心地よいから良しとしておこう。

最近またお互いに忙しくなって会える時間が少なくなったけど、まあなんとかなるでしょう。
by innocentl | 2011-10-06 00:44 | 日常 | Trackback | Comments(0)


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